サプリメントは効く?
膝が痛くて「ヤバイ」、手術はイヤです。CMで「膝の痛みにコンドロイチン・グルコサミン」少しは効くのかな?そう思っている方は結構おられると思います。
結論から言って、検証の研究結果としては、効果は無いようです。
理由を説明します。
- 口から飲むので胃や腸で分解されてしまいます。
- わずかでも膝に達しても、膝の軟骨は血流が乏しいので取り込むのは困難である。
整形外科の保存療法として「ヒアルロン酸注射」を直接膝関節に補充することで、軟骨の保護、炎症の抑制効果があります。
大腿四頭筋の強化の疑問
大腿四頭筋は、単独で働かないし、チーム内の役割がある

図は、歩行筋電図です。
図の上に人間が歩いている姿が描かれています。
手前に描かれている足を見ると歩行の順番が分かります。
筋電図なので、曲線の山が高いほど筋肉の活動が高いです。
内側広筋と外側広筋、大腿直筋と記されているのが大腿四頭筋です。
筋電図と骨人形の①〜③の示す筋肉は同じです。

両方の図から気づくことをあげます。
- 踵が地面に着き、片足で支え始めると多くの筋肉が働く現象が見られます。(筋電図)
- 支えの際に、それぞれの持ち場で、①〜③が役割分担しているのが分かります。(骨人形)
- 筋肉の活動の始まるきっかけやピークが、動作変化に伴って組織的に柔軟に変化しているのは、感覚情報を神経システムが処理している証拠です。
骨人形の①〜③の筋肉の関係から言えることは
- 大腿四頭筋①は、膝を伸ばす役割でなく、体重が踵にしっかり乗るために、膝の前流れ防止をする役目です。
- 大腿四頭筋①は、大殿筋②と同時に協力して体重を受け止める役目と推察できます。
- 大腿四頭筋①や大殿筋②よりも前に、③である大/長内転筋は荷重時の膝の前流れ防止をしているようです。
大腿四頭筋は、大殿筋との共同をトレーニングにも意識すべきです。
大腿四頭筋は、体重を受け始める荷重増場面で働くが、バランスとる片足立位時にあまり関与しない。
大腿四頭筋は左右バランス調整には向かない

大腿四頭筋は、よく聞く筋肉です。
強く大きな筋肉で解剖学や運動学には、強力な膝の伸展筋(膝を伸ばす筋肉)とあります。
(実際には、荷重時に膝の曲がり過ぎ防止を受け持ちます)
見ての通り、ももから膝にかけて、前面に直線的にある筋肉です。
筋電図を見ても、片足に乗ってバランス維持している時には、活動は低くなっています。
どう見ても、側方ストレスに対応できるようには見えません。
左右対応は、下腿の内側にある後脛骨筋、外側のある腓骨筋が下腿の左右対応を担っていると考えるべきと思います。
大腿四頭筋は、荷重情報をもらって働く

大腿四頭筋に限ったことでは無いのですが、筋肉は、状況に合わせた「力の加減」を感覚情報をもとに行います。
バスケットの少年は、右足の荷重量の情報を貰いながら、膝の支えを股関節との分担具合を無意識に図って動作を行っています。

マシーントレーニングの男性は、左膝下の重り抵抗情報を得て、膝を伸ばすことを意識的に動作を行っています。
両者とも、大腿四頭筋のトレーニングには違いありません。決定的に異なるのは、「情報」の違いと、働くのが「チーム」と「単独」です。
膝にとってのストレッチ
膝痛にとって、
①「足指グリップ不足と膝下の不安定」
②「X/O脚に代表される膝関節への偏った荷重」
③「股関節の省エネ習慣による股関節ロックは膝への負担を増やす」
を問題提起しています。
①は、バランスや足支えに足指や下腿筋を使わない習慣の問題。つまり「力」の問題。
②は、足指使用、アーチや左右の下腿筋の問題が背景にあります。これも「力」の問題。
③は、股関節の「サボリ」が原因なので、股関節の「力」の問題。
①〜③とも「力」の問題で「可動域・柔軟性」が本質ではないと思います。
むしろ、静的ストレッチは、筋肉の最小単位である「サルコメア」が伸び切って筋肉が収縮しづらい条件を作ります。アスリートは、競技直前の静的ストレッチはしません。
膝の不安定性の改善には、可動域拡大には慎重になるべきであると思っています。
ただ、気持ち良い範囲での軽いストレッチは、問題ないと思います。
まとめ
膝トレーニングの問題点として、
- サプリメントの有効性の話。
- 大腿四頭筋の強化の疑問として、筋は動作の中でチームで働くのに、単独強化をしている。また、大腿四頭筋は、大腿前面にあって、横方向のバランス調整には向かない特性であると思う。
- 膝にとってのストレッチは、効果は期待できないと思う。