股関節ロック

衰えの対策知識

ここでの「股関節ロック」は、股関節唇損傷や変形の進んだ変形性股関節症のように、股関節関節内のトラブルによって動きがロックされる意味ではなく、股関節を覆っている「腸骨大腿靭帯」などに頼ってロックする正常の代償現象を指しています。

股関節ロックは、股関節周りの靭帯に寄りかかる現象

(1)股関節の周囲は、超強力な靭帯に覆われている。

股関節は、体幹や頭部、上肢の重さを受け止めながら大きく動くために、比較的広い可動性を持っています。
股関節自体、関節の凹であるソケット(関節臼)は深く、比較的安定した関節です。

(2)股関節のほとんどの動きに対して行き過ぎないように靭帯が制限している。

股関節は、屈曲・伸展・外転・内転・内旋・外旋という動きの種類があります。

(3)この丈夫な靭帯に寄りかかることを覚えます。

股関節は、荷重と広い可動域をコントロールするために、多くの筋肉の参加を必要とします。それが「しんどくなる」と、この股関節周りの「腸骨大腿靭帯」「坐骨大腿靭帯」「恥骨大腿靭帯」に寄りかかって筋肉を楽させたいと「脳」は思ってしまうのでしょう

歩行荷重時、股関節ロックでは、股関節が「前」や「横」へ流れる

股関節周囲の靭帯に寄りかかって動きがなくなることを「股関節ロック」ということにします。

この靭帯は、股関節をぐるりと覆っています。
股関節の前の靭帯に寄りかかったり(前方ロック)、横の靭帯に寄りかかったり(横ロック)します。

よく見られる「前ロック」と「横ロック」を紹介します。

「前ロック」は、下腹を前に突き出したような格好になります。
「横ロック」は、休めor歩きのときに、横に骨盤が「流れる」現象。
どちらも、靭帯を押し付けてロックしているので、股関節の曲げ伸ばしや回旋などの動きはほとんど無い状態です。

習慣になると、股関節周りの筋活動の低下が起こり、膝や腰の負担が増える

「股関節ロック」は、膝ロックと同じように、その関節やその周囲の抗重力活動を低下させます。

  • 体重がかかったときに、ロックで下肢全体の筋活動が低下しているので、支えきれず、股関節が前や横に流れます。人によっては内向きや外向きに固定する方もいます。
  • この抗重力活動の低下は、動作を遅くします
    筋活動の低下は、動作の反応や対応力を下げ、そのことが更に「関節ロックの依存度」をあげてしまいます。

股関節のまわりの筋活動の低下は、膝関節や腰の負担を増やします。

  • 膝関節には、股関節が働かない影響として、特に「回旋と支え」のストレスが増大します
    足/膝/腿が支えとして、ステップを方向を変えるとき、股関節の回旋がメインです。そのときに股関節がロックされていると、大腿の回旋が強制的に起こります。
  • 腰には、股関節が働かない影響として、膝のときの理由と同じで、回旋ストレスがきます。
    また、歩行時の片足の支え時に、股関節ロックでは上体の重さのクッションとして働かないので、膝にその負担が行きます。結果、膝が前に流れます。

まとめ

  • 股関節ロックは、股関節周りの靭帯に寄りかかる現象です。
  • 歩行荷重時、股関節ロックでは、股関節周囲の筋肉が働かないので、股関節を安定させることができずに、股関節が「前」や「横」へ流れてしまいます。
  • 股関節ロックが習慣になると、股関節周りとその周囲の筋活動は低下し常態化します。
    その低下は、膝関節や腰の負担(可動域や筋力)を増やします。
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