条件によって練習のやり方は変わります

練習の効果的な進め方

動作練習にとって今より「動作がやりやすくなる/軽くなる」「痛み少なくできる」ことが大切です。
性別・年齢・体型・柔軟性・筋力・体重 など、同じ条件の方はいないでしょう。

すでに、膝関節の痛みやや腰痛など抱えている方もおられるでしょう。恐らく、そうなった原因もあるのでしょう。

それぞれの方の条件が違うので、練習方法も考慮すべきです。課題は同じでも、やり方をその方の問題を反映できる方法を工夫すべきです。

このページでは、動作練習を行う上で、押さえてほしい点をお伝えします。

性別と年齢

動作としての衰えと老化で説明した壮年期以降のホルモン低下は、特に男性では筋力の低下、女性では骨の問題は、根性でなんとかはなりません。

男性は、急に低下を感じることが多い感じです。女性よりコミュニケーションが苦手の方が多いので家から出たがらず活動ていがが心配です。

女性は、筋力はもともと男性より劣るので、支える力不足もあってO脚やX脚のなる割合も多く、痛みにつながりやすいです。

筋トレは、高齢でも効果があることは定説ですが、高齢者の筋力増加は、筋肉肥大(いわゆる筋肉がつく)があまり伴わない報告があります。ここから言えることは、「力がつく」は、筋肉が太らなくても「力の出し方」が上手くなれば可能であるということは、高齢者の筋トレ方法に参考になります。

柔軟性

身体の硬い方は、関節の可動性が不十分なので、筋力に頼る傾向になり、その身体の使い方がさらに身体を硬くする傾向になります。硬い方は、姿勢良く見えますが安心しないでください。

柔らかい方は、動作時に柔軟性を優先させるので、筋力を最小にするという傾向になります。筋肉が発達しにくいです。

どちらも、若いうちは良いのですが、歳をとってくると特有の問題が起こってきます。

筋力や神経

筋量は30歳頃より減少する

筋肉量は、30歳頃より減少が始まって80歳頃には10%〜30%落ちます。男性の方が落ち方が大きいです。

筋力は筋肉量に比例しません

筋力は、50歳くらいから落ちてきます。
80歳過ぎると、10%〜30%落ちます。

上肢より、下肢の方の筋力低下が早い

上肢より、下肢の方の筋力低下が早い傾向があります。

加齢とともに白筋が先に衰えてきます

筋肉には、白筋(瞬発力が得意)と赤筋(持続的収縮が得意)がありますが、加齢とともに白筋が先に衰えてきます。


神経の切り替えも遅くなりがちです。
結果、速い動きや動きのメリハリがなくなってきます。

環境の変化

無重力で起こること

無重力環境では、重力刺激がなくなるので、姿勢維持筋肉の赤筋が減って白筋に変化したことが報告されています(スペースシャトルコロンビア)。
また、長期間ベッド臥床では、上肢より抗重力筋の方が筋肉萎縮が多かったようです。
これは、環境変化で、使わない筋肉は優先的に変化していくことを示しています。


また、宇宙飛行士の地球に帰還直後の抗重力筋の筋電図に乱れが確認されています。

これは、急な環境変化に対応しようとしている現象と解釈できます。私たちがプールで泳いだ後や自転車を長く漕いだ後に経験する動作しづらさに似ています。
この急な変化に順応する「戸惑い時間」は、年と共に長くなると考えます。長く座っていて、体幹バランスから急に立ち上がって、下肢の抗重力に切り替えて歩く時にふらついたり膝痛を覚えたりすることもあるでしょう。

動作緊張の高い人・低い人

動作緊張とは、聞きなれないと思います。当リハネス研究室でしか通用しません。
動作を教える時に、人によって「力み具合」にかなり差があって、練習の仕方に影響があります。
・動作緊張の高い方「力みタイプ
・動作緊張の低い方「だらっとタイプ」  に便宜的に分けています。

「力みタイプ」の方は、筋力優先・力が抜けずリラックスが苦手(椅子に腰掛けても面の支持でなくて点の支持傾向が強い。

「だらっとタイプ」の方は、立っていても座っていてもヤジロベエ式に重さの吊り合わせや関節ロックを使って筋使用を省エネ化します。

両者とも、無意識でするので修正は完全には無理です。
この発想は、脳卒中のリハビリ訓練で日常的に経験することです。

まとめ

性別や年齢、柔軟性、筋力や神経、環境要素、「力みタイプ」などによって、人間の動き方にはかなりのバリエーションがあります。

全てに配慮した練習方法は、なかなか困難ですが、随時練習方法の中で加えていきます。


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